睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が繰り返し一時的に停止するか、極端に減少する疾患です。睡眠中、平均して1時間に5回以上起こり、それぞれ呼吸停止が10秒以上認められる場合には、この疾患の可能性があります。これにより、血液中の酸素濃度が低下し、身体は頻繁に目覚めるため本来の睡眠はとれず、常に心臓や脳などに負荷がかかるため高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす原因になるといわれています。できるだけ早く診断し、治療をはじめる事が大切です。
主に睡眠時無呼吸症は3つのタイプがあります。
最も多いタイプで、喉や気道の筋肉が弛緩して気道が一時的に塞がれる事によって起こります。
脳が呼吸を制御する信号を適切に送れないために発生します。
OSAとCSAの両方の特徴を持つもの。
軽度の場合、体重減少、禁酒、禁煙などの生活習慣の改善が効果的です。
持続的に気道に空気を送り込み、気道を開いた状態に保つための装置を使用します。これが最も一般的な治療法です。
下顎を前に押し出す事で気道を開く装置を使用します。
重度の場合、のどを広げる手術が必要な事があります。
中枢性睡眠時無呼吸や重度の閉塞性睡眠時無呼吸に対しては、呼吸を制御する神経を刺激する装置を体内に埋め込む治療法もあります。
原因には鼻~咽頭~喉頭にかけての気道の狭窄があります。気道の狭窄は肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが小さい事、扁桃肥大、舌根(ぜっこん)・口蓋垂(こうがいすい)・軟口蓋(なんこうがい)による狭窄、さらにはアレルギー性鼻炎などによる鼻閉が関係しています。また、加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。しっかりした検査を行い、正確な夜間の呼吸状態を把握して適切な治療法が必要です。
鼻腔咽喉頭ファイバーを用いて鼻~咽頭~喉頭までの空気の通り道を確認して、実際にモニターを付けて睡眠時の無呼吸回数・心拍数などを調べる検査が必要です。ご自宅でできる簡易検査と、専門の医療機関に一泊して行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。状況に応じて簡易検査あるいは精密検査をおすすめしています。
治療には対症療法と根治療法があり、症状の程度や原因に応じて選択します。代表的な対症療法には、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、呼吸を行う治療法です。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。当クリニックにてCPAP療法適応と判断された場合には、当クリニックにてCPAPを導入致します。毎月1回の当クリニック受診時に、CPAP装用データを解析し効果を判定し継続治療してまいります。記録メディア(SDカードなど)の持参は不要ですので、お近くでの御用事のついでなど、いつでも受診が可能です。
マウスピース療法は軽症度に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定する事で、呼吸を楽に行えるようにする治療法です。当クリニックにてマウスピース療法適応と判断された場合には、治療可能な連携歯科医院へと紹介させて頂いております。
扁桃腺を摘出して、その周辺(軟口蓋)を縫居合わせてのどを広げる手術です。特に扁桃肥大のある睡眠時無呼吸の患者様に有効とされていますが、通常、全身麻酔で手術を行うため可能な連携病院へと紹介させて頂いております。局所麻酔で対応可能な場合は当クリニックでサージトロン(ラジオ波による低侵襲な焼灼医療器機)を用いて治療を行っています。
アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎で鼻閉傾向が強い場合には、口呼吸が主体である事が多く、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる原因となる事もあります。その場合、下甲介粘膜レーザー焼灼術により鼻閉を改善させる事で、睡眠時無呼吸症候群の症状が軽減する場合があります。当クリニックでは、局所麻酔下にて下甲介粘膜レーザー焼灼術<CO2レーザー使用>が施行可能です。
医師の診察前に事前問診を行います。睡眠時の状態は、睡眠障害となる精神的ストレスや心の問題のほか、鼻や口から肺までの空気の通り道がきちんと確保できているかなど、器質的な問題が密接に関係しています。ご記入頂いた問診票をもとに、診察を進めてまいります。
※他院を受療中で薬剤の処方を受けている方は、事前にお申し出ください。