くびの病気
くびの病気
頸部には多くのリンパ節があり、炎症や腫瘍の転移、リンパ節の癌といわれる悪性リンパ腫で腫脹してきます。またのど仏の下にはホルモンを分泌する甲状腺があります。
今回は頸部の部位で病気を分類してみます。
甲状腺炎・甲状腺腫瘍・バセドウ病・正中頸嚢胞など
リンパ節炎・リンパ節腫脹・悪性リンパ腫など
甲状腺は、首の前部に位置する蝶の形をした小さな器官で、代謝を調節するホルモンを分泌します。甲状腺に関連する病気は多く、それぞれ異なる症状や治療法が存在します。
以下は代表的な甲状腺の病気についての説明、症状、治療法です。血液検査(ホルモン検査)や画像検査、細胞検査を行って診断していきます。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌する事で生じます。
一般的には薬物療法が行われます。
甲状腺を縮小させるために放射性ヨウ素を投与する治療法です。
重症例や薬物療法が効果を示さない場合、甲状腺の一部または全部を外科的に摘出する事があります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足する状態です。橋本病は、その主な原因で、自己免疫疾患として甲状腺が慢性的に破壊される事により発症します。
不足している甲状腺ホルモンを補充する方法です。
甲状腺結節は、甲状腺内にできるしこりや腫瘍です。結節は良性である事が多いですが、悪性(甲状腺癌)である場合もあります。
小さな良性結節の場合、経過観察が一般的です。
結節が悪性であるかを確認するために行われる検査です。
結節が大きい、成長している、または悪性と診断された場合、結節を摘出する手術が行われます。
甲状腺ホルモン過剰が原因で結節が機能している場合、放射性ヨードを用いて結節を縮小させます。
甲状腺癌は、甲状腺に発生する悪性腫瘍です。甲状腺癌にはいくつかの種類があり、乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌があります。
癌を完全に摘出するために行われます。
手術後に残った甲状腺組織や転移を除去するために使用されます。
手術後に甲状腺ホルモンを補充するためにレボチロキシンが処方されます。
進行した甲状腺癌や未分化癌などに対して行われる事があります。
亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染後に発症する一過性の炎症で、甲状腺の一部が炎症を起こす疾患です。
痛みや炎症を軽減するため用いられます。
症状が重い場合に使用されます。
甲状腺機能低下症の症状が現れた場合、一時的にホルモン補充療法が行われる事があります。
甲状腺に関する病気は多岐にわたり、症状も様々です。甲状腺に異常を感じた場合は、早めに医師の診察を受ける事が重要です。
頸部のリンパ節が炎症で腫れたり痛みを伴う病気です。原因としては、細菌やウイルス感染が多いですが、結核や特定の癌に関連している事もあります。
頸部リンパ節炎の治療は、原因に応じて異なります。
細菌感染が原因である場合、抗生物質が処方されます。
ウイルス感染が原因の場合、効果的です。ただし、ウイルス感染の多くは自然に治癒するため、対症療法が中心となる事もあります。
痛みや発熱を和らげるために用いられます。
頸部リンパ節炎が他の基礎疾患(例:結核、癌など)に関連している場合、その原因疾患の治療が必要です。たとえば、結核が原因の場合、抗結核薬による治療が行われます。
軽度の頸部リンパ節炎は、自然に回復する事が多く特別な治療が不要な場合もあります。しかし、症状が長引いたり、リンパ節が急速に腫れる場合、まれに重篤な疾患が原因である事もあるため、症状が疑わしい場合は早めに医療機関を受診する事が推奨されます。
頸部のリンパ節が異常に大きくなる状態です。原因は多岐にわたり、通常は感染症による炎症が原因ですが、自己免疫疾患や癌などが原因の場合もあります。腫脹が長期間続く場合や、腫れが固く、痛みがなく、動かない場合は、悪性(悪性リンパ腫や癌の転移)の可能性もあるため、注意が必要です。
治療は、腫脹の原因に依存します。
細菌感染が原因である場合、抗生物質が有効です。
ウイルス感染が原因の場合、抗ウイルス薬が使用される事があります。
痛みや発熱を和らげるために、アセトアミノフェンなどが使用される事があります。
腫脹が自己免疫疾患や癌などの全身性の病気に関連している場合、その基礎疾患の治療が必要です。例えば、リンパ腫が原因の場合、化学療法や放射線療法が行われます。
軽度のリンパ節腫脹は、数週間で自然に改善する事が多いです。
ただし、腫れが長引く、腫れが固くて動かない、発熱が続く、体重減少や夜間の発汗などの症状がある場合は、速やかに医師の診察を受ける事が重要です。